知能

社会的知性を高めるには、どんなスキルが必要ですか?

Kristina Nikolaeva
By Kristina Nikolaeva, 学士(心理学)
Published 2024/06/09 · Updated 2024/06/24
さまざまな人が交流する様子。社会的知能に必要な共感、コミュニケーション、傾聴などのスキルを表しています

イラスト:Cognitivus

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社会的知性とは、相手の考えや気持ちを理解し、その場に合った方法でやり取りやコミュニケーションができる力です。リーダーシップを磨きたいときも、家族や友人との絆を深めたいときも、初対面の人ともっと上手に接したいときも、社会的知性を高めることが役立ちます。人と関わりながら生きていくうえで、大切なスキルです。日々のやり取りがスムーズになり、身近な人との信頼や相互理解も深まります。 

1. 社会的知性を支える基本のスキル

社会的知性の土台となるのは、積極的傾聴、感情知能、そして的確に伝え合う力の3つです。これらの力があると、人と良好な関係を築き、円滑にやり取りできるようになります。

社会的知性に欠かせないスキル

  • 積極的傾聴とは、相手の言葉だけでなく、表情やしぐさにも注意を向け、思いやりを持って応じることです。 
  • 感情知能とは、自分と相手の感情に気づき、理解する力です。積極的傾聴と深く結びついており、表面には出ていない気持ちや事情を理解する助けになります。この2つのスキルがあれば、人とのやり取りに落ち着いて、柔軟に対応しやすくなります。
  • コミュニケーションスキルは、自分の考えや気持ち、アイデアを相手にきちんと伝えるための力です。わかりやすく話す力や説得力といった、言葉で伝えるスキルが含まれます。また、見過ごされがちな身ぶりや表情など、言葉を使わないコミュニケーションも大切です。ただ話せばよいわけではありません。自分の思いを明確に伝え、相手が発するサインを的確に読み取ることが重要です。両方の伝え方を身につけると、より深く、確かな人間関係を築けます。さまざまな場面で自分の役割を果たし、成果を上げることにもつながります。
Three images depicting active listening, emotional intelligence, and communication skills as key components of social intelligence
積極的傾聴、感情知能、コミュニケーションスキルが社会的知性を高めます/ イラスト:© Cognitivus/画像はすべてPexelsから取得し、CC0ライセンスのもとで使用しています

これらのスキルを組み合わせることで生まれる力は、とても大きなものです。互いを理解し、協力し合える前向きな関係の土台になります。また、相手の表情や態度、その場の雰囲気などを読み取る助けにもなります。こうしたサインに気づくことは、私生活でも仕事でも、人とのつながりを築き、保つうえで欠かせません。

社会的知性が高い人の特徴

では、社会的知性が高い人には、どのような特徴があるのでしょうか。そうした人は、人や状況を理解する力と共感する力を自然に組み合わせて、複雑な人間関係に対応しています。感情と人間関係の動きが密接につながっていることを理解しています。そのため、状況を的確に読み取り、相手の気持ちに気づき、ふさわしい対応ができます。

近年、研究者たちは、共感する力が社会的知性に直接どのような影響を与えるのかを詳しく調べています。その結果、相手の感情を理解する力と、人と関わる場面でうまく対応する力との間には、強い正の相関があることがわかりました。これは特定の年齢層だけに見られるものではありません。幅広い年齢層に共通しており、対人スキルの理解や教え方に新たな可能性を示しています。

社会的知性が高い人と接すると、聞き上手で観察力が鋭く、細かなことにもよく気づくと感じるでしょう。意見がぶつかる場面でも、落ち着いて、無理なく間を取り持つことがよくあります。人との関係を大切にし、一人ひとりに丁寧に向き合います。誰もが「話を聞いてもらえた」「尊重された」と感じられるように気を配ります。こうした相手に寄り添う姿勢が、親しみや信頼につながっています。 

こうしたスキルを理解し、それを実践している人に目を向けることは、自分の社会的知性を高める大きな助けになります。少しずつ練習し、日々の関わりを意識することで、人と関わる力は磨けます。周囲の人とのつながりも、より深く豊かなものになっていきます。

社会的知性が高い人は、相手の感情を自然に理解し、それに合った対応ができます。聞き上手で、対立も円滑に解決へと導きます。

2. 社会的知性を育てる方法

社会的知性を構成する4つの要素

社会的知性は、いくつかの要素から成り立っています。それらが組み合わさることで、人と関わるさまざまな場面で力を発揮できます。それぞれの要素を見ていきましょう。どれも、社会の中での役割や人とのやり取りを理解するうえで大切です。著名な 心理学者Daniel Golemanは、その要素として、社会的気づき、社会的認知、対人関係を円滑に築く力、対人スキルを挙げています。

  • 社会的気づきとは、状況を的確に読み取り、その場の言葉にされていない人間関係や雰囲気を理解する力です。ほかの人が見落としがちなサインを捉える、対人関係のレーダーのようなものです。相手がはっきり言葉にしなくても、その気持ちをくみ取れます。この力を意識して使うことは、感情知能を高めるために取り入れたい習慣の一つです。
  • 社会的認知とは、人や社会的な状況についての情報を処理し、活用する働きです。その場にいる人の行動を理解し、予測するために頭を働かせることです。パズルを解くように、人と状況に関する情報を組み合わせて、その後の展開を予測します。
  • 対人関係を円滑にする力とは、人とのやり取りをスムーズに進める力です。やり取りがスムーズであるほど、その場に応じて対人スキルをうまく活用できているといえます。会話の流れを保ち、気まずい場面でも穏やかに理解し合えるようにする力です。
  • 最後に、もう一つ大切なのが対人スキルです。人と関わるさまざまな場面で役立つ、道具のようなものです。意見の対立を解消する力から、共感を示す力まで含まれます。親しみやすく接するだけでなく、相手への理解と柔軟な対応を通じて、人間関係を維持し、育んでいくためのスキルです。
Four components of social intelligence: social cognition, social facility, social awareness, and social skills
社会的知能を構成する四つの要素は、社会的認知、対人関係を円滑にする力、社会的気づき、対人スキルです。/イラスト:© Cognitivus

社会的知能を高めるには

社会的気づき、社会的認知、対人関係を円滑にする力、対人スキルという四つの要素が分かったら、次はそれぞれを磨いていきましょう。社会的知能を育み、社会的知能指数を高めることにつながります。社会的知能指数は、社会的知能の高さを示す指標です。

一般的な意味で頭がよいからといって、人付き合いも得意とは限りません。実際に、スペインの研究チームは、学業や抽象的な思考に優れていても、対人関係をうまく築けるとは限らないことを示しています。生きるうえで欠かせないこうしたスキルを育てるには、一人ひとりに合った方法が必要です。特に、知的能力の高い人にとっては大切なことです。

ここからは、社会的知能を高めるための方法をご紹介します。

Activities to improve social intelligence: active listening, self-awareness, feedback loop, and challenging yourself
社会的知能を高める方法には、自己認識を深めることや、積極的に相手の話を聴くことなどがあります。/イラスト:© Cognitivus

積極的に耳を傾ける

まずは、相手の話を積極的に聴く「積極的傾聴」を実践してみましょう。どんな会話も、聴く力を磨く機会です。言葉だけでなく、声の調子や表情、しぐさにも注意を向けてみてください。積極的傾聴が感情知能を高めるために特におすすめの習慣の一つとされるのは、このためです。聴くことも、双方向のやり取りです。ただ話を聞くだけでなく、理解したことを伝えたり、質問をして理解を深めたりすることも大切です。そうすることで、相手の考えを大切にしていると伝わり、より深いつながりを育めます。

振り返りを次に生かす

自分の経験を振り返り、学んだことを新たな人付き合いの場面で生かしてみましょう。どんなやり取りも、人と人の間にある微妙な空気や関係を理解する機会になります。振り返りと実践を繰り返すことで、一定のパターンに気づき、行動を調整しやすくなります。日記をつけるのもおすすめです。自分の成長を記録し、改善したい点を目に見える形で確認できます。

自己認識を深める  

また、自己認識を深めることで、自分の感情や反応に気づきやすくなります。このような感情知能は、人間関係や人とのやり取りの土台となる大切な力です。

何がきっかけで感情が動き、どう反応するのかが分かると、自分の反応を整えやすくなります。人との関わりも、よりスムーズになります。マインドフルネスや瞑想は、自分の感情に気づき、人と接するときに目の前のやり取りに意識を向ける助けになります。

新しいことに挑戦する

最後に、慣れ親しんだ環境から一歩踏み出すことを恐れないでください。初めて会う人や、いつもと違う交流の場は、対人感覚を試し、磨く絶好の機会です。こうした挑戦を、成長のチャンスと捉えてみましょう。初対面の人に話しかける、グループ活動に参加する、初めての交流イベントに足を運ぶ。どの経験も、自信を育み、さまざまな状況に柔軟に対応する力につながります。

こうした実践を日々の暮らしに取り入れることで、社会的知能を育み、高めていけます。人とのやり取りが豊かになり、人間関係にも充実感が生まれます。さまざまな対人場面で、よりうまく対応できるようになるでしょう。

3.社会的知能を測るには

今の自分の社会的知能がどのくらいなのか、気になるかもしれません。社会的知能は、ほかのスキルと同じように測ることができます。そして何より、伸ばすことができます。心理学者たちは、Tromsø Social Intelligence ScaleやEmotional and Social Competence Inventoryなどの尺度を開発してきました。これらは、成長に必要な自己認識を深めるためのツールです。

Tromsø Social Intelligence Scale(TSIS)は、2001年にトロムソ大学のSilvera、Martinussen、Dahlが開発した、社会的知能を測るための実用的な尺度です。21項目で構成され、社会的気づき、社会的情報処理(社会的認知の一側面)、対人スキルという3つの主要な側面を評価します。回答者は、特定の対人行動をどのくらいの頻度で取るかを7段階で自己評価します。TSISは、複数の研究で入念に検証されてきました。信頼性を確かめるとともに、社会的知能を構成する側面をより明確にするためです。

一方、Richard BoyatzisとDaniel Golemanが開発したEmotional and Social Competence Inventory(ESCI)は、360度評価によって感情面や対人面の能力を総合的に評価するツールです。感情に関する自己認識、共感、組織に対する理解、対立の調整、周囲を鼓舞するリーダーシップなど、12の能力を測ります。同僚、上司、直属の部下など、さまざまな立場の人からフィードバックを集めます。これにより、感情面や対人面のスキルについて、周囲からどう見られているかを理解できます。こうした多角的なフィードバックは、自分の強みや改善が必要な点を知り、成長につなげるうえで大切です。

どちらのツールも、社会的知能への理解を深め、その力を伸ばすために作られています。体系的なフィードバックを通じて、人とのやり取りをより円滑にし、対人スキルを高めるための方法を考える手助けをします。

4.リーダーシップに生かす社会的知能

リーダーの立場にある方には、ぜひ知っておいてほしいことがあります。感情知能の場合と同様に、チームやメンバー一人ひとりに与える影響は、社会的知能と深く結びついています。効果的なリーダーシップと対人スキルの関係は、見過ごせません。優れたリーダーは、人間関係の動きをよく理解しているからこそ、チームの心をつかみ、意欲を引き出し、行動を後押しできます。

チームのメンバーの感情を理解し、適切に応じることができれば、チーム全体に前向きな雰囲気が生まれます。大切なのは、単に言葉を伝えることではありません。相手の心に届き、行動につながる伝え方をすることです。 

A diverse team of smiling professionals in a meeting around a table, showcasing social intelligence
社会的知能の高いリーダーは、共感と効果的な働きかけによってチームの成果を高めます/写真:fauxels、Pexelsより

Daniel GolemanとRichard E. Boyatzisは、Harvard Business Reviewの記事で、共感を示し、感情面でつながりを築くリーダーは、チームの雰囲気や成果を大きく改善できると指摘しています。 

社会的知能の高いリーダーは、互いに支え合い、力を発揮しやすい環境を作ります。複雑な人間関係にも、落ち着いて柔軟に対応できます。対人スキルを生かして対立を解消し、共通の目標に向けてチームを一つにまとめます。

Sources